何でもやります。は何にもできませんと言っているのと一緒。

今みたいに事業モデルが確立していないとき、若いというエネルギーしかなかったとき
営業先で「なんでもやります」と言っていた。

ある時、お世話になっている社長から「何でも出来ますって言わないほうがいいよ。それってなんもできないって言ってるのと一緒だよ」と言われた。
その時は、何か具体的な強みを語れるほうがいいってことかと何となく思ったぐらいで
寧ろそれだけになってしまうと、可能性を縮めてしまうんじゃないかとい気持ちも少しはあった。
無意識のうちに営業方法は「なんでもやります」から「アドネットワークに特化した広告運用会社です」と言うようになってから
アドネットワークの仕事は勿論、それで信用してもらい、出来るなんて一言も言ってない仕事も依頼されるようになった経験がある。

自分が営業を受けるようになって「なんでもやります。なんでもできます。」って言わない方がいい理由が
明確になった。

■相手に考えさせてしまっている時点で貢献できていない
「何でも出来るので、困っていることはありませんか?」とマッチングビジネスをやっているという人がいた。
課題は沢山あるし、困っていることもあるけど、そんな聞き方をされたところで一体どの課題をその人に相談したらいいのか
よくわからなかった。少し考えて、いくつか浮かんだことを言ってみた。
クライアントを増やしたいこと、業種はこれで、規模はこれぐらいのところ。
「社長、それはなかなか難しいですよ」
その人がイケてなかったというのもあるかもしれない、それ以上に思ったのは「考えた時間を返してくれよ」だった。
だったら、自分の紹介可能領域とこっち側の下調べをして、マッチするクライアントの一覧をいくつか持ってきたりしてほしい。
結局誰もマッチングされなかったし、交流会も何度か誘われたが参加者をSNSで見たとき
絶対にマッチングしない人ばかりだった。

■仮に何でも出来ても、器用貧乏という言葉があるように特化した強みがある人間に勝てない
なんでもできますと言う人は器用貧乏になりやすい。
ある程度、色々回せるけど特化した強みがないから、何か特化した専門性がある人に劣るし
その人と比べて説明や技術が劣るように感じる。
それはなぜか。かけている時間が違うからだと思う。
何事もやればやるだけ、気づきが発見がある。
器用な人は、なんでもやってしまう。だから、一つ一つにかける時間が短い。
何か特化したプロフェッショナルと言われる人は、一つに対してかけてきた時間と
それによって気づいたこと、発見したこと、それも長く続けてきたからこそ得れることを
持っていたりする。そういう人になんでもやれる人は勝てない。

■試しに何でもできますと言う人に課題を与えてやってきた人はやってこなかった人より少ない
これは営業活動だけでなく、採用活動でもよくある。
「御社に入ったら何でもやります。死に物狂いで覚悟を決めてやります」という人が
一年間で3,4人当社に受けにくることがある。
僕はそういう人に漏れなく課題を提供した。
「では、次回の面接までに広告業界のご自身で考える課題を3000文字でまとめてきてください。」
きついだろうか?なんでもやると気合と覚悟がある人からしたら
ぬるいことじゃないかと僕は思う。
合わせて、纏まり次第連絡くださいと伝えた。
だけど、結局だれからも連絡が来なかった。

■なんでもできます、なんでもやりますは思考不足、自己分析不足、そして自分の価値を下げている。
僕は会社創業当初に「なんでもやります」と言っていた時を振り返ると
若かったなぁという気持ちと同時に思考と自己分析が不足していたこと、あとは自分の価値を自ら下げていたと感じる。
少なくとも当時の25年間積み上げてきたことがあったし、どうして積み上げてこれたのかという理由もある。
何を積み上げてきたのか、どうして積み上げてきたのかを紐解いていくと、今の自分は何が出来てそれによって
どんな価値を提供できるかの納得のいく説明もできると思う。
あとは、それをお客様が買うか買わないかの判断をするだけだ。
創業当初、年末に売上が僕と井坂が生活できない経験をして、僕たちに出来るのはアドネットワークの運用だと
決められたことが今に繋がってるけど、これからもできることがどんどん増えていっても
何でも出来ますなんて言わず、今やるべきことを明確に伝えていこうと思う。

変わらずフルアウトしていきます。

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